2001年頃に書いていたのみで現在は全く書いていません。
そして、今後も更新の予定は無いです。
一応 18歳未満の方はお断り
常識の無い方もお断りします。
ゾロナミだけです。
無いとは思いますが、一切の無断転載もお断りします。
そして、今後も更新の予定は無いです。
一応 18歳未満の方はお断り
常識の無い方もお断りします。
ゾロナミだけです。
無いとは思いますが、一切の無断転載もお断りします。
2006/09/17(日) 17:58:29| 18R|
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【Tropical night】
「う…暑い…」
額に首から胸にかけてそして背中、全身にじっとりと汗が滲んでいる。ナミはこの晩何度目かの寝返りを打ちながらハァと溜息をつく。パジャマがわりのキャミソールも汗を吸いどこか乱れている。丸窓は外に向かって開いてはいるのだが、とにかく風が無い。部屋の天井に取り付けられている換気扇はゆるゆると温い空気をかき回すだけで快適とはほど遠い。
「ダメだ…」
ナミはもそもそとだるく重い体を起こし、同室の仲間を見ると彼女は涼しい顔をして眠っている。整った顔立ちはこんな寝苦しい夜でもいつもと変わらない事に呆れそうなほど感心するが、それも彼女らしい。ナミはロビンの眠りを妨げないようにそっと寝台から降りて、部屋から外に出る階段を上っていった。
部屋よりもさらにムッとした気温の廊下を抜けて甲板への扉を開ける。囲みのない空間は風が無くても、部屋の中よりは幾分心地よい気がした。
ナミは数歩踏み出したところで思わずぎょっとした。
寝苦しかったのは何もナミだけでは無かったようだ。ゴロゴロと岸に打ち上げられた魚のように男部屋の住人達が甲板の上で思い思いの格好で寝転がっていた。
「落ちていかなきゃいいけど」その様子を見てナミは呟く。風は無いが波は落ち着いている。広がる星空を隠す雲の影も見えない。海王類でも傍で跳ねなければ大波が来る心配は今のところ無さそうだ。
寝ている野郎共を蹴飛ばしたり起こさぬように、そっと階段を上り後部甲板にやってきた。そこにはいつも使っているデッキチェアがある。チェアの角度を変え、腰掛け足を伸ばす。そろりと背もたれに身体を預けると足音を立てずに歩こうと緊張していた力が抜け、ほうっと溜息が漏れた。
開けた空間は思っていた通りに過ごしやすく感じた。熱気が篭る事無く開放されている。停泊はしていても波に揺られている船の動きを肌で感じて涼しいような気がする。
視線を黒く揺らぐ海面から、空を仰ぐように見上げる。そこに揺らぎ、瞬いていたのは無数の星。細かいガラスの破片かビーズでもぶちまけたように輝いていた。暑苦しく重くなっていた気分が見ているうちに吸い込まれるようにふわりと軽くなるようだった。
そこにギシリと近付く重い足音。
「どうしたの?こんな時間に」
「お前こそ…っつうか、どうして振り向きもせずに俺だと分かる?」
「その位の聞き分けぐらいはできるわよ」
「そんなものか」
麦わらクルーの一人ひとりの持つ音ははっきりして分かりすぎる程だった。小さな蹄の足音やぺたぺたとしたサンダル音、硬い革靴の音。賑やかな靴音に少し重い靴音。シャラリとピアスが揺れる音もしたかもしれない。
「それにさっき甲板に出た時に転がっていた影が一つ足りなかったわ。何してたの?」ナミは近付いてきた男の顔に視線を移した。ビールの小瓶を口に当てながらナミを見下ろしていた緑頭の男と目が合う。
「冷蔵庫を探っていた。喉が渇いちまってな」
「サンジ君が怒るわよ」
「冷蔵庫に鍵かかっていなかったからな」
「ま、いいわ。ありがとう、気が利くわね」
ナミは腕を伸ばしゾロが持っていた小瓶に手を伸ばす。あっさりと渡してくれた冷えた小瓶に口をつける。苦味のあるアルコールが喉を滑り落ちていく。炭酸が弾ける感触が喉に心地良かった。
「やっぱり美味しいわ」ナミがゾロに小瓶を返すと戻ってきた瓶の軽さに嫌な顔をしている。
「お前さぁ、普通全部飲むか?こういう時は一口だろう」
「あら、だって一口しか残っていなかったもの」
アハハと笑いながらナミはまたゆったりと身体を伸ばしながら、空を見上げる。そんなナミの様子を見て、ゾロはナミが足を伸ばすチェアの隣に腰を下ろし彼女が見ている方へ目をやる。
「で、お前は?」
ゾロの問いかけでは言葉が足りない気がしたがナミは空を見上げたまま「暑かったから部屋で寝ていられなくて、ここに居ただけ」と答える。「そうか」「そうよ」と会話は続かず二人で星を見上げるだけになってしまった。きっと、ナミが黙っていればゾロもこのままずっと黙ったままなのだろう。
「こうやって、静かに空を見上げるなんて久しぶりだなぁと思って」
ナミにとっては天候を読むために空を見上げるのはよくある事だったが、目的もなくただ星の瞬きを眺めるというのはしばらく無かったように思われる。ゾロが聞いているのかどうか分からないが、そのままナミは話し続ける。
「見上げていると吸い込まれそうで、それとも空が落ちてきそうかな…。手が届きそうだから伸ばしてみたくなったわ。届くわけないのにね」
「……。」
「ねえ、聞いている?寝ちゃったの?」
他愛のない話に付き合う気は無いのか返事の無いゾロ。ナミは起きているのかどうか顔を見ようと身体を起こしてそっと覗き込む。ゾロはちゃんと目を開けて空を見ていた。そしてゾロの方を見ているナミに真面目な顔で「いいんじゃねぇの」と空に向かって手を伸ばした。
「確かに届きそうだ。届くと思えば届くんじゃねぇの?」
「やだ、やめてよ…そんな事あるわけないじゃない」
「よっ」
ゾロは伸ばした手で何かを握り「捕まえたぜ」とニヤリとして、その手をナミの方に伸ばしてくる。
「何も持っていないくせに、虫とか言ったら殴るわよ」
ゾロは後は何も言わずに『開いてみろ』とでも言うように手を出してくる。ナミは渋々とその出された握られた大きな手を受け取り、それでも何が出てくるのか恐る恐る開いてみた。
「……やっぱり何もないじゃない。バカバカしい」
何もない手を離し、ナミはつまらなそうな顔をしてチェアの背もたれに身体を預けようとした、その前に手が動いていた。
くしゃりとナミの頭を掴むように撫でる手。
「あぶなっ!」椅子から落ちそうになりナミは思わず声をあげそうになったがその言葉の上にゾロの「捕まえただろう」という言葉が重なった。
「ちょっとッ」頭を抱きかかえられて慌てて身体を離そうとするナミに、「落ちるぞ、少し黙ってろ」と離そうとはしない男。抵抗しても無駄を悟りナミは力を抜き頭を預けると動けぬように抱えていたゾロの腕が緩む。
「届くと思えば届くんだろう?手を伸ばしてみる事は無駄じゃねぇ。お前には伸ばせる手がしっかりあるんだから伸ばしてみろよ」
諭すように静かに響いた声にナミは気恥ずかしくなり、「らしくな〜い」とその場を誤魔化す。
「…最初に変だったのはお前の方だろう」
「私は…ただ暑かったから…」
「へぇぇ」今度はゾロが肩によりかかる彼女の顔をチラリと覗く。
「すげぇ顔してるぞ。真っ赤になって」
「うそ、そんな事あるわけ無いじゃない。……大体、こんなに暗くて顔色まで分かるわけ」
「そうか?」
ゾロに指摘されて思わず頬を押さえようとしたナミの腕はまた捕らえられて、そのまま近付き重なる唇。
ほんの一時の沈黙。
後には柔らかくなったナミがまだ少し複雑な顔をしたまま、ゾロの腕の中に抱き止められる。
「涼みに外に出てきたはずなのに、余計に暑くなったじゃない、どうしてくれるの」
「俺もだ、だが捕まえちまったからな」
「捕まったのは、私?」
ナミは先ほど開いた何も無かった大きな掌を思い出しトクンと熱が上がるのを感じた。それならば…
「手は伸ばさないとね」
ニコリと笑いながら今度はナミから手を伸ばすのだった。
こんな熱帯夜なら悪くは無いと思いながら。
おわり
「う…暑い…」
額に首から胸にかけてそして背中、全身にじっとりと汗が滲んでいる。ナミはこの晩何度目かの寝返りを打ちながらハァと溜息をつく。パジャマがわりのキャミソールも汗を吸いどこか乱れている。丸窓は外に向かって開いてはいるのだが、とにかく風が無い。部屋の天井に取り付けられている換気扇はゆるゆると温い空気をかき回すだけで快適とはほど遠い。
「ダメだ…」
ナミはもそもそとだるく重い体を起こし、同室の仲間を見ると彼女は涼しい顔をして眠っている。整った顔立ちはこんな寝苦しい夜でもいつもと変わらない事に呆れそうなほど感心するが、それも彼女らしい。ナミはロビンの眠りを妨げないようにそっと寝台から降りて、部屋から外に出る階段を上っていった。
部屋よりもさらにムッとした気温の廊下を抜けて甲板への扉を開ける。囲みのない空間は風が無くても、部屋の中よりは幾分心地よい気がした。
ナミは数歩踏み出したところで思わずぎょっとした。
寝苦しかったのは何もナミだけでは無かったようだ。ゴロゴロと岸に打ち上げられた魚のように男部屋の住人達が甲板の上で思い思いの格好で寝転がっていた。
「落ちていかなきゃいいけど」その様子を見てナミは呟く。風は無いが波は落ち着いている。広がる星空を隠す雲の影も見えない。海王類でも傍で跳ねなければ大波が来る心配は今のところ無さそうだ。
寝ている野郎共を蹴飛ばしたり起こさぬように、そっと階段を上り後部甲板にやってきた。そこにはいつも使っているデッキチェアがある。チェアの角度を変え、腰掛け足を伸ばす。そろりと背もたれに身体を預けると足音を立てずに歩こうと緊張していた力が抜け、ほうっと溜息が漏れた。
開けた空間は思っていた通りに過ごしやすく感じた。熱気が篭る事無く開放されている。停泊はしていても波に揺られている船の動きを肌で感じて涼しいような気がする。
視線を黒く揺らぐ海面から、空を仰ぐように見上げる。そこに揺らぎ、瞬いていたのは無数の星。細かいガラスの破片かビーズでもぶちまけたように輝いていた。暑苦しく重くなっていた気分が見ているうちに吸い込まれるようにふわりと軽くなるようだった。
そこにギシリと近付く重い足音。
「どうしたの?こんな時間に」
「お前こそ…っつうか、どうして振り向きもせずに俺だと分かる?」
「その位の聞き分けぐらいはできるわよ」
「そんなものか」
麦わらクルーの一人ひとりの持つ音ははっきりして分かりすぎる程だった。小さな蹄の足音やぺたぺたとしたサンダル音、硬い革靴の音。賑やかな靴音に少し重い靴音。シャラリとピアスが揺れる音もしたかもしれない。
「それにさっき甲板に出た時に転がっていた影が一つ足りなかったわ。何してたの?」ナミは近付いてきた男の顔に視線を移した。ビールの小瓶を口に当てながらナミを見下ろしていた緑頭の男と目が合う。
「冷蔵庫を探っていた。喉が渇いちまってな」
「サンジ君が怒るわよ」
「冷蔵庫に鍵かかっていなかったからな」
「ま、いいわ。ありがとう、気が利くわね」
ナミは腕を伸ばしゾロが持っていた小瓶に手を伸ばす。あっさりと渡してくれた冷えた小瓶に口をつける。苦味のあるアルコールが喉を滑り落ちていく。炭酸が弾ける感触が喉に心地良かった。
「やっぱり美味しいわ」ナミがゾロに小瓶を返すと戻ってきた瓶の軽さに嫌な顔をしている。
「お前さぁ、普通全部飲むか?こういう時は一口だろう」
「あら、だって一口しか残っていなかったもの」
アハハと笑いながらナミはまたゆったりと身体を伸ばしながら、空を見上げる。そんなナミの様子を見て、ゾロはナミが足を伸ばすチェアの隣に腰を下ろし彼女が見ている方へ目をやる。
「で、お前は?」
ゾロの問いかけでは言葉が足りない気がしたがナミは空を見上げたまま「暑かったから部屋で寝ていられなくて、ここに居ただけ」と答える。「そうか」「そうよ」と会話は続かず二人で星を見上げるだけになってしまった。きっと、ナミが黙っていればゾロもこのままずっと黙ったままなのだろう。
「こうやって、静かに空を見上げるなんて久しぶりだなぁと思って」
ナミにとっては天候を読むために空を見上げるのはよくある事だったが、目的もなくただ星の瞬きを眺めるというのはしばらく無かったように思われる。ゾロが聞いているのかどうか分からないが、そのままナミは話し続ける。
「見上げていると吸い込まれそうで、それとも空が落ちてきそうかな…。手が届きそうだから伸ばしてみたくなったわ。届くわけないのにね」
「……。」
「ねえ、聞いている?寝ちゃったの?」
他愛のない話に付き合う気は無いのか返事の無いゾロ。ナミは起きているのかどうか顔を見ようと身体を起こしてそっと覗き込む。ゾロはちゃんと目を開けて空を見ていた。そしてゾロの方を見ているナミに真面目な顔で「いいんじゃねぇの」と空に向かって手を伸ばした。
「確かに届きそうだ。届くと思えば届くんじゃねぇの?」
「やだ、やめてよ…そんな事あるわけないじゃない」
「よっ」
ゾロは伸ばした手で何かを握り「捕まえたぜ」とニヤリとして、その手をナミの方に伸ばしてくる。
「何も持っていないくせに、虫とか言ったら殴るわよ」
ゾロは後は何も言わずに『開いてみろ』とでも言うように手を出してくる。ナミは渋々とその出された握られた大きな手を受け取り、それでも何が出てくるのか恐る恐る開いてみた。
「……やっぱり何もないじゃない。バカバカしい」
何もない手を離し、ナミはつまらなそうな顔をしてチェアの背もたれに身体を預けようとした、その前に手が動いていた。
くしゃりとナミの頭を掴むように撫でる手。
「あぶなっ!」椅子から落ちそうになりナミは思わず声をあげそうになったがその言葉の上にゾロの「捕まえただろう」という言葉が重なった。
「ちょっとッ」頭を抱きかかえられて慌てて身体を離そうとするナミに、「落ちるぞ、少し黙ってろ」と離そうとはしない男。抵抗しても無駄を悟りナミは力を抜き頭を預けると動けぬように抱えていたゾロの腕が緩む。
「届くと思えば届くんだろう?手を伸ばしてみる事は無駄じゃねぇ。お前には伸ばせる手がしっかりあるんだから伸ばしてみろよ」
諭すように静かに響いた声にナミは気恥ずかしくなり、「らしくな〜い」とその場を誤魔化す。
「…最初に変だったのはお前の方だろう」
「私は…ただ暑かったから…」
「へぇぇ」今度はゾロが肩によりかかる彼女の顔をチラリと覗く。
「すげぇ顔してるぞ。真っ赤になって」
「うそ、そんな事あるわけ無いじゃない。……大体、こんなに暗くて顔色まで分かるわけ」
「そうか?」
ゾロに指摘されて思わず頬を押さえようとしたナミの腕はまた捕らえられて、そのまま近付き重なる唇。
ほんの一時の沈黙。
後には柔らかくなったナミがまだ少し複雑な顔をしたまま、ゾロの腕の中に抱き止められる。
「涼みに外に出てきたはずなのに、余計に暑くなったじゃない、どうしてくれるの」
「俺もだ、だが捕まえちまったからな」
「捕まったのは、私?」
ナミは先ほど開いた何も無かった大きな掌を思い出しトクンと熱が上がるのを感じた。それならば…
「手は伸ばさないとね」
ニコリと笑いながら今度はナミから手を伸ばすのだった。
こんな熱帯夜なら悪くは無いと思いながら。
おわり
キッチンの壁にかかっているカレンダーにクルリと赤い丸がついている。丸というよりは赤いハート型で囲まれていると言った方が正しい。
「ナミさんの誕生日にあり合わせのものでなんてとんでもありません。準備万端、最高のものを作り召し上がっていただくのが俺の務めです」
そう、サンジ君は言いながらパーティー料理の下ごしらえに余念がなかった。「待っていてくださいね」そう笑いながらもちょっと申し訳無さそうな顔をする。その気配を察して席を立つ。
「すみません。後でお茶と何か摘めるものをお持ちしますので」
「ううん、気を使わなくていいから。私も用事があったし」
甲板に出るとそこにはウソップ工場が店を広げていた。角のある小さな頭と黒い頭と合計三つが顔を突き合わせている。甲板に出てきた私に気付くと「ナミか、楽しみにしてろよな。俺様の芸術的センスで今最高のプレゼントとパーティーを用意するからな」そう言って長い鼻を擦っている。その後にはまたキッチンで察した空気が流れる。
「そう、楽しみにしているわ」
ひらと手を振りながら、今度は甲板後ろのデッキに行く。そこにはロビンがのんびりとチェアで寛ぎながらページを捲っていた。もう一つのチェアに溜息をつきながら腰掛けると、ほんの少しページを読む気配が止む。
「ロビンはいつもと変わらないのね」
「あら、どうして?」
「別に……ただ今自分の居場所が無いなァと思っていたから。ロビンまで何かするからあっちに行けと言うかなあって」
「言ってほしいの?ならそうするけど」
「言ってほしいわけないじゃない。普通にしていてよ。居心地が悪くてしょうがないんだから」
ロビンは静かにフフと笑いながら視線を本の方に戻す。それはいつもと変わらない。ようやく深呼吸をしながら体を伸ばし、腰が落ち着く。サイドテーブルにあった雑誌に手を伸ばそうという気になる。
「ゆっくりしているといいのよ。時間が余るというならゲームの相手でもしてさしあげるわ。可愛いものじゃない、相手を喜ばせようと一生懸命になっている姿も」
「それは分かっているけど。でも、その時間までが長いのよ、行動が制限されているみたいで」
「結構寂しがり屋よね、航海士さんは。剣士君に遊んでもらった方が時間が過ぎるのが早いかしらね」
「そんなんじゃないわよ!変な事言わないで」
「そう、いい考えだと思ったんだけど。いいわよ、私部屋には戻らないから。それともここに呼ぶ?」
「ロビン!」
何気なく吐くロビンのからかいの言葉をひとしきりかわしている内に気持ちも落ち着き。サンジ君が運んでくれた飲み物を飲みながら時間は過ぎていった。
日が落ちる前に碇を海に投げ込んで船を停泊させてパーティーが始まった。
普段よりも一段と手の込んだ料理。心の篭った贈り物(1/100ゴーイングメリー号新しい大砲と銅像つき)おめでとうの乾杯の後はいつもの楽しく飲めや歌えが始まったのだった。
「ゾロ、あんたは今日はどこに居たのよ」
酒瓶を並べ抱えている男の隣にトンと腰を下ろして一本頂く。狭い船内のはずなのに今日はあまり目につかなかった。
「色々だな。ウソップの手伝いに、操船。果てはルフィの相手だ」
「ふーん。全然見えなかったから」
「何だ?お前も遊んでほしかったのか?」
「何言ってるの!そんなんじゃないわよ」
「へぇぇ」
ゾロはチラリとこちらを眺めてはニヤニヤと笑っている。
「違うったら。ただ、誕生日のお祝いは慣れていないからどうしていいのか分からなかっただけよ」
「それでロビンに絡んでいたのか?」
「ちょっと、聞いていたの?」
「たまたまだよ、勝手に耳に入ってきた」
「趣味悪い」
「……拗ねた事言ってるんじゃねぇよ。ま、顔はそうでもないみたいだけどな」
「どういう事よ」
「鏡を見りゃ分かる。嬉しいなら嬉しいと素直に言え」
「そんなんじゃない!」
どいつもこいつも私の気持ちを勝手に決め付けないで欲しいと思ったら「飲めよ」と首から抱き寄せられてジョッキに新たな酒が注がれる。
「わァ、ズルイ俺も〜」とチョッパーが飛び付いてきて、ルフィも一緒に加わろうとしてつい拳を飛ばしてしまった。
「なあみい、楽しいか?俺誕生日って好きだよ。誰の誕生日でも」
腰に抱きつくチョッパーが素直で嬉しそうな顔で見上げるので釣られて笑うとチョッパーがもっと嬉しそうに笑う。
「慣れていないのなら、これから慣れていけばいい。お前流に言えば『楽しまなければ損だ』だろ?」
「…そうね。そうだと思うわ。やっぱり、楽しい事には変わりないわ」
こいつに説教まがいの事をされるのはどうも引っ掛かるけど、今日一日どこか置いてけぼりの気分は楽しむことで昇華させたほうがいい。
「そうと決まれば飲むわよ」
「そうだよ!ナミ ハッピーバースデイ!」
七つのジョッキがもう一度軽快な音で重ねあわされた。
その重なる音がするたびに次第に疎外感は消えていくのだった。
「ナミさんの誕生日にあり合わせのものでなんてとんでもありません。準備万端、最高のものを作り召し上がっていただくのが俺の務めです」
そう、サンジ君は言いながらパーティー料理の下ごしらえに余念がなかった。「待っていてくださいね」そう笑いながらもちょっと申し訳無さそうな顔をする。その気配を察して席を立つ。
「すみません。後でお茶と何か摘めるものをお持ちしますので」
「ううん、気を使わなくていいから。私も用事があったし」
甲板に出るとそこにはウソップ工場が店を広げていた。角のある小さな頭と黒い頭と合計三つが顔を突き合わせている。甲板に出てきた私に気付くと「ナミか、楽しみにしてろよな。俺様の芸術的センスで今最高のプレゼントとパーティーを用意するからな」そう言って長い鼻を擦っている。その後にはまたキッチンで察した空気が流れる。
「そう、楽しみにしているわ」
ひらと手を振りながら、今度は甲板後ろのデッキに行く。そこにはロビンがのんびりとチェアで寛ぎながらページを捲っていた。もう一つのチェアに溜息をつきながら腰掛けると、ほんの少しページを読む気配が止む。
「ロビンはいつもと変わらないのね」
「あら、どうして?」
「別に……ただ今自分の居場所が無いなァと思っていたから。ロビンまで何かするからあっちに行けと言うかなあって」
「言ってほしいの?ならそうするけど」
「言ってほしいわけないじゃない。普通にしていてよ。居心地が悪くてしょうがないんだから」
ロビンは静かにフフと笑いながら視線を本の方に戻す。それはいつもと変わらない。ようやく深呼吸をしながら体を伸ばし、腰が落ち着く。サイドテーブルにあった雑誌に手を伸ばそうという気になる。
「ゆっくりしているといいのよ。時間が余るというならゲームの相手でもしてさしあげるわ。可愛いものじゃない、相手を喜ばせようと一生懸命になっている姿も」
「それは分かっているけど。でも、その時間までが長いのよ、行動が制限されているみたいで」
「結構寂しがり屋よね、航海士さんは。剣士君に遊んでもらった方が時間が過ぎるのが早いかしらね」
「そんなんじゃないわよ!変な事言わないで」
「そう、いい考えだと思ったんだけど。いいわよ、私部屋には戻らないから。それともここに呼ぶ?」
「ロビン!」
何気なく吐くロビンのからかいの言葉をひとしきりかわしている内に気持ちも落ち着き。サンジ君が運んでくれた飲み物を飲みながら時間は過ぎていった。
日が落ちる前に碇を海に投げ込んで船を停泊させてパーティーが始まった。
普段よりも一段と手の込んだ料理。心の篭った贈り物(1/100ゴーイングメリー号新しい大砲と銅像つき)おめでとうの乾杯の後はいつもの楽しく飲めや歌えが始まったのだった。
「ゾロ、あんたは今日はどこに居たのよ」
酒瓶を並べ抱えている男の隣にトンと腰を下ろして一本頂く。狭い船内のはずなのに今日はあまり目につかなかった。
「色々だな。ウソップの手伝いに、操船。果てはルフィの相手だ」
「ふーん。全然見えなかったから」
「何だ?お前も遊んでほしかったのか?」
「何言ってるの!そんなんじゃないわよ」
「へぇぇ」
ゾロはチラリとこちらを眺めてはニヤニヤと笑っている。
「違うったら。ただ、誕生日のお祝いは慣れていないからどうしていいのか分からなかっただけよ」
「それでロビンに絡んでいたのか?」
「ちょっと、聞いていたの?」
「たまたまだよ、勝手に耳に入ってきた」
「趣味悪い」
「……拗ねた事言ってるんじゃねぇよ。ま、顔はそうでもないみたいだけどな」
「どういう事よ」
「鏡を見りゃ分かる。嬉しいなら嬉しいと素直に言え」
「そんなんじゃない!」
どいつもこいつも私の気持ちを勝手に決め付けないで欲しいと思ったら「飲めよ」と首から抱き寄せられてジョッキに新たな酒が注がれる。
「わァ、ズルイ俺も〜」とチョッパーが飛び付いてきて、ルフィも一緒に加わろうとしてつい拳を飛ばしてしまった。
「なあみい、楽しいか?俺誕生日って好きだよ。誰の誕生日でも」
腰に抱きつくチョッパーが素直で嬉しそうな顔で見上げるので釣られて笑うとチョッパーがもっと嬉しそうに笑う。
「慣れていないのなら、これから慣れていけばいい。お前流に言えば『楽しまなければ損だ』だろ?」
「…そうね。そうだと思うわ。やっぱり、楽しい事には変わりないわ」
こいつに説教まがいの事をされるのはどうも引っ掛かるけど、今日一日どこか置いてけぼりの気分は楽しむことで昇華させたほうがいい。
「そうと決まれば飲むわよ」
「そうだよ!ナミ ハッピーバースデイ!」
七つのジョッキがもう一度軽快な音で重ねあわされた。
その重なる音がするたびに次第に疎外感は消えていくのだった。
「ナミぃ ナミぃ!こんな所で寝ていたら風邪をひくぞ。ちゃんと上を着ないと」
コックの居ないキッチンでナミと読書をしていたチョッパーはいつの間にかうたた寝をしていたナミに気づいた。小さなひづめをトコトコと鳴らしながら近づいては、ナミの肩を軽く揺する。
「……寝ちゃってたんだ…部屋に帰ろう…」
チョッパーに揺り動かされて目を擦りながら立ち上がるナミ。ただ、うたた寝はよっぽど深い眠りだったようだ。急に起こされたナミは足をひっかけてはその場によろりと座り込む。
「おい ナミ大丈夫か?」
「う…ん…あんまり大丈夫じゃないみたい。ふらふらする…」
「それなら ここで一回座って落ち着いてから部屋に帰ればいい」
「チョッパー連れて行ってくれる?」
「えっ!?」
「チョッパー 抱っこ〜」
「俺がぁあ!?」
ナミはコクンと首を縦に振ってはチョッパーの方に腕を伸ばしてくる。その姿に顎をかくんと外さんばかりに口をあけて驚いた表情のチョッパー。そして一瞬後にはあわあわと慌てだす。
「ナミ 何言ってるんだよ。お 俺なんか無理に決まっているじゃないか」
「チョッパーならできるでしょ?」
「俺なら?? でも…」
「早く、私 眠いんだから」
眠そうなトロンとした目だと思っていたらどこか違う色を含んでいるようなナミの瞳。その真意がチョッパーには掴めなくて頭の中はパニック状態だった。どうしようと困った顔でナミを見返すがもう一度ナミは手をチョッパの方に伸ばしてくる。
チョッパーはどうして今日はナミがこういう行動を取ろうとしているのか考えた。だが、差し伸べられた小さな手を取ったのは人型となったチョッパーの大きな手だった。チョッパーは自分の手の中に納まるナミの手を見ながら自然に大きな人型になってナミの手を取る自分が不思議だった。
どうやってナミの体を抱き上げようか戸惑ったが、手を取るとナミが自然に立ち上がり体を寄せてくるのでひょいと縦抱きに抱き上げた。
「ねえ チョッパーこういう時は横抱き。お姫様抱っこじゃないの?」
「え?そういうものなのか?」
「…決まりはないけどね。このままでもいいかな、さ お部屋に連れて行ってねv」
「う うん…なぁ ナミ誰かと間違えていないなよな…」
「何、変なこと言ってるの」
「うん…」
チョッパーがもう片手にナミの持ち物を手にドアの方に向かう。抱き上げているナミの視線が少し寂しげにドアの方に向けられているような気がした。ここに居ない誰かを見ているようでチクリとチョッパーの心に棘が刺さる。
食堂のドアを開けた時、その誰かがいたらどうしようかとチョッパーは思った。だが、目にする事もなくそのまま階段を下りて女部屋に続くドアを開ける。匂いが後の甲板から流れてきているのは分かっていた。
(…喧嘩でもしているのかな…)
ナミに声をかけようかと思って口を開こうとしたが、声にはならなかった。『何でも口にすればいいってもんじゃねぇ』と長鼻の仲間が言っていたことをふいと思い出した。あと何歩かで女部屋の跳ね扉の前に着く。それまでだからとチョッパーが自分に言い聞かせていた時にきゅっとナミが両手をチョッパーの首に回して頭を肩に乗せてきた。
自分に回されたナミの腕は細くてこんなに華奢だったのか改めて気づいた。いつも小さなチョッパーを後から抱きかかえたりしてきたナミのしっとりとしたでも元気に弾けるような弾力と違って、今はふわふわと柔らかくて儚くて壊れ物のような感触。それに、いつもと違う重みまで感じていた。
チョッパーの頬に触れるナミの髪やナミ自身の香りまでもが何かいつもと違う。チョッパーは息苦しさを感じて。あと一歩という距離に感謝した。
「チョッパーもこうしていると男なんだね」
ナミの言葉にどきりとした。まるで自分の考えていることがナミに伝わってしまったのかと。青い鼻の頭に汗をかきながら。
「な 何を言っているんだ!ナミ ほら着いたぞ」
「やだ ちゃんと最後まで」
「え ええっ!」
さらにぎゅっと首にしがみつき全く離れる気配の無いナミ。仕方なくナミを抱えたまま、跳ね上げ扉を開けそこから下に続く階段を下りていく。女部屋に来るのにこんなにドキドキしたことなんて無かったと思いながらようやく階段下につく。
「ナミぃ」
「まあだ」
「ナミ酔っているんじゃないのか?」
「私は一滴も飲んでいないわよ。知っているでしょ?」
「う…ん…」
ベッドの所か?ソファの所か?
ソファのところでは首に絡む腕に何の変化も見られなかった。ベッドの所にきてようやく緩む気配を感じた。
チョッパーはナミをベッドに下ろしながらホッと安堵の息をつく。だが…首に回された腕が緩み体が離れる時すうっと熱が下がるのを感じた。
湧き上がった感情は……この手を離したくない、もっと触れていたい。
「チョッパー ありがとうね」
そう言ったナミの唇にも触れたいと思った。もしかしたら今なら……
「お おう。こんなの簡単な事だ、ちゃんと布団着て寝るんだぞ。おやすみ!」
だが、自分に向けられた笑顔がそのまま失われたらと思ったら後はそのまま飛び出るように女部屋を後にするチョッパーだった。
その晩 眠れぬチョッパーが見張りを代わったという事だった。満天の星空の下、火照った体に心地よい風をうけながら大きな人型でいつまでも人と同じ形をした手を見ていたという。小さなひづめではなく。
チョッパー 本格参戦の日も近い……
コックの居ないキッチンでナミと読書をしていたチョッパーはいつの間にかうたた寝をしていたナミに気づいた。小さなひづめをトコトコと鳴らしながら近づいては、ナミの肩を軽く揺する。
「……寝ちゃってたんだ…部屋に帰ろう…」
チョッパーに揺り動かされて目を擦りながら立ち上がるナミ。ただ、うたた寝はよっぽど深い眠りだったようだ。急に起こされたナミは足をひっかけてはその場によろりと座り込む。
「おい ナミ大丈夫か?」
「う…ん…あんまり大丈夫じゃないみたい。ふらふらする…」
「それなら ここで一回座って落ち着いてから部屋に帰ればいい」
「チョッパー連れて行ってくれる?」
「えっ!?」
「チョッパー 抱っこ〜」
「俺がぁあ!?」
ナミはコクンと首を縦に振ってはチョッパーの方に腕を伸ばしてくる。その姿に顎をかくんと外さんばかりに口をあけて驚いた表情のチョッパー。そして一瞬後にはあわあわと慌てだす。
「ナミ 何言ってるんだよ。お 俺なんか無理に決まっているじゃないか」
「チョッパーならできるでしょ?」
「俺なら?? でも…」
「早く、私 眠いんだから」
眠そうなトロンとした目だと思っていたらどこか違う色を含んでいるようなナミの瞳。その真意がチョッパーには掴めなくて頭の中はパニック状態だった。どうしようと困った顔でナミを見返すがもう一度ナミは手をチョッパの方に伸ばしてくる。
チョッパーはどうして今日はナミがこういう行動を取ろうとしているのか考えた。だが、差し伸べられた小さな手を取ったのは人型となったチョッパーの大きな手だった。チョッパーは自分の手の中に納まるナミの手を見ながら自然に大きな人型になってナミの手を取る自分が不思議だった。
どうやってナミの体を抱き上げようか戸惑ったが、手を取るとナミが自然に立ち上がり体を寄せてくるのでひょいと縦抱きに抱き上げた。
「ねえ チョッパーこういう時は横抱き。お姫様抱っこじゃないの?」
「え?そういうものなのか?」
「…決まりはないけどね。このままでもいいかな、さ お部屋に連れて行ってねv」
「う うん…なぁ ナミ誰かと間違えていないなよな…」
「何、変なこと言ってるの」
「うん…」
チョッパーがもう片手にナミの持ち物を手にドアの方に向かう。抱き上げているナミの視線が少し寂しげにドアの方に向けられているような気がした。ここに居ない誰かを見ているようでチクリとチョッパーの心に棘が刺さる。
食堂のドアを開けた時、その誰かがいたらどうしようかとチョッパーは思った。だが、目にする事もなくそのまま階段を下りて女部屋に続くドアを開ける。匂いが後の甲板から流れてきているのは分かっていた。
(…喧嘩でもしているのかな…)
ナミに声をかけようかと思って口を開こうとしたが、声にはならなかった。『何でも口にすればいいってもんじゃねぇ』と長鼻の仲間が言っていたことをふいと思い出した。あと何歩かで女部屋の跳ね扉の前に着く。それまでだからとチョッパーが自分に言い聞かせていた時にきゅっとナミが両手をチョッパーの首に回して頭を肩に乗せてきた。
自分に回されたナミの腕は細くてこんなに華奢だったのか改めて気づいた。いつも小さなチョッパーを後から抱きかかえたりしてきたナミのしっとりとしたでも元気に弾けるような弾力と違って、今はふわふわと柔らかくて儚くて壊れ物のような感触。それに、いつもと違う重みまで感じていた。
チョッパーの頬に触れるナミの髪やナミ自身の香りまでもが何かいつもと違う。チョッパーは息苦しさを感じて。あと一歩という距離に感謝した。
「チョッパーもこうしていると男なんだね」
ナミの言葉にどきりとした。まるで自分の考えていることがナミに伝わってしまったのかと。青い鼻の頭に汗をかきながら。
「な 何を言っているんだ!ナミ ほら着いたぞ」
「やだ ちゃんと最後まで」
「え ええっ!」
さらにぎゅっと首にしがみつき全く離れる気配の無いナミ。仕方なくナミを抱えたまま、跳ね上げ扉を開けそこから下に続く階段を下りていく。女部屋に来るのにこんなにドキドキしたことなんて無かったと思いながらようやく階段下につく。
「ナミぃ」
「まあだ」
「ナミ酔っているんじゃないのか?」
「私は一滴も飲んでいないわよ。知っているでしょ?」
「う…ん…」
ベッドの所か?ソファの所か?
ソファのところでは首に絡む腕に何の変化も見られなかった。ベッドの所にきてようやく緩む気配を感じた。
チョッパーはナミをベッドに下ろしながらホッと安堵の息をつく。だが…首に回された腕が緩み体が離れる時すうっと熱が下がるのを感じた。
湧き上がった感情は……この手を離したくない、もっと触れていたい。
「チョッパー ありがとうね」
そう言ったナミの唇にも触れたいと思った。もしかしたら今なら……
「お おう。こんなの簡単な事だ、ちゃんと布団着て寝るんだぞ。おやすみ!」
だが、自分に向けられた笑顔がそのまま失われたらと思ったら後はそのまま飛び出るように女部屋を後にするチョッパーだった。
その晩 眠れぬチョッパーが見張りを代わったという事だった。満天の星空の下、火照った体に心地よい風をうけながら大きな人型でいつまでも人と同じ形をした手を見ていたという。小さなひづめではなく。
チョッパー 本格参戦の日も近い……






